乳幼児医療費助成制度というお子様が通院や入院をした際の医療費は、
全部また一部が自治体の助成によって、
自己負担額は少なく済む制度があることは解説しました。
では、成人ではそういった保障はないのか?
成人も使える医療費の負担を軽減する保障として、
高額療養費制度があります。
今回は高額療養費制度について、解説していきます。
◆高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは
医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が、
ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、
その超えた金額を支給する制度です。
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まれません。
高額療養費制度
図のように年齢・収入で上限額は異なりますが、
例として、69歳以下の標準報酬月額が40万円の人が医療費100万円かかったとします。
すると、まず健康保険制度によって、自己負担は3割ですね。
なので、窓口負担は30万円となります。
しかし、高額療養費制度によって自己負担金額の上限額が決まっています。
今回の例の場合、上限額は87,430円ですので、
それを超える差額分の212,570円は高額療養費として支給され、
実際の自己負担金額は高額療養費制度上限額の87,430円となります。
これが高額療養費制度です。
◆自己負担金額は年齢や所得によって異なる
69歳以下の場合の毎月の上限額は以下の通りです▼
自己負担金額
70歳以上の場合は、毎月の上限額が異なります。
厚生労働省HPで確認することができますので70歳以上の方は確認をしてください。
◆どのような医療が高額療養費制度の対象となる?
高額療養費制度対象
保険適用される診療に対し、
患者が支払った自己負担額が対象となります。
医療にかからない場合でも必要となる「食費」・「居住費」、
患者の希望によってサービスを受ける、差額ベッド代・先進医療にかかる費用等は、
高額療養費の支給の対象とはなりません。
◆申請方法は?
ご自身が加入している公的医療保険に、
高額療養費の支給申請書を提出または郵送することで、
支給が受けられます。
病院などの領収書の添付を求められる場合もあります。
この場合は、先に3割負担分の医療費を支払い、
申請後に自己負担金額上限を超えている部分が返金されるため、
一時的に多額の資金が必要になります。
そこで、入院することが分かっていた場合などは、
事前に「限度額適用認定証」または、
「限度額適用・標準負担額減額認定証」を医療機関へ申請しましょう。
申請すると、医療機関での支払いが、自己負担上限金額までになりますので、
家計の一時的負担がなくなります。
◆負担をさらに軽減する仕組み
①世帯合算
一人1回分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、
複数の受診や、同じ世帯にいる他の方(同じ医療保険に加入している方に限ります。)の
受診について、窓口でそれぞれお支払いいただいた自己負担額を
1か月単位で合算することができます。
その合算額が一定額を超えたときは、超えた分を高額療養費として支給します。
(出典:厚生労働省)
つまり、同じ世帯・同じ公的医療保険に加入している方全員分合算で、
解説した自己負担限度額を超えた部分は高額療養費が支給されるということです。
②多数回該当
過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、
4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。
(出典:厚生労働省HP)
多数回該当◆注意点
高額療養費制度の注意点は、同一月ということです。
仮に69歳以下の標準報酬月額が40万円の人が医療費100万円かかったとした場合、
実際の自己負担金額は高額療養費制度上限額の87,430円と説明をしました。
しかし、これは同一月であった場合のケースです。
もし、医療費が4月が50万円、5月も50万円の合計100万円だった場合は、
自己負担額は4月も87,430円、5月も87,430円の合計174,860円となります。
そのため、もし入院を予定している方で希望が叶うのであれば、
なるべく同一月内治療が終わるようにしたほうが良いかもしれませんね。
しかし、治療費を抑えるのために治療が遅れると本末転倒です!!!
命を最優先に検討しましょう。
高額療養費制度は、医療費による家計の圧迫を軽減してくれる非常に良い制度ですね。
他にも、日本は社会保障制度が充実しています。
その他の代表的な社会保険制度の説明はまた次回。
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